有機農業とは?


有機農業とは、環境に配慮した「環境保全型農業」の中でも、化学肥料や化学合成農薬を使わず、環境への負荷をできる限り減らした農業です。

山形県の農業は、最上川をはじめ豊かな自然環境の恵みを受け発展してきました。

近年、地球温暖化の更なる進行や、将来的に持続可能な農地づくりの問題などから、環境に対する負荷の軽減が求められ、これまで以上に環境にやさしく自然と共生する農業の取り組みのひとつとして有機農業が注目されています。


有機農業は、子ども達にありのままの農業を 残すための仕組み

有機農業って、未来に農業を残すための仕組みと言うか、生産方法だと思うんです。

うちの父親の代にスタートした有機農業。いろんな先輩方の話を聞きに行ったときに教わることが多かったこと、そして、その有機の田畑の景色を見せてもらって、今やっている農業というのが環境にもたらす影響を考えたときに本当にそれでいいのかというのをひしひしと感じたことが、有機農業へ移行した一つの分かれ目だったようです。

私が幼い頃には、蛍がたくさんいて捕まえたりしたものですが、だんだんと見られなくなってしまって、子ども達に自分が体験したことを教えられないのがすごく残念な事でした。

蛍がいなくなってしまったのは、使っていた農薬に蛍自体ではなくて、蛍の餌になるものを殺してしまうものが入っていたから。それを使っている限り蛍は絶対に出てこない。

ですから、有機農業をしていく中で、自分の家の周りだけでもいいので、また蛍が見られるような場所に戻したいというのが一つの目標になりました。

〜遠藤孝志さん<ひなた村/長井市>〜


食べる人が求める米づくりが 環境に優しい農業に繋がっていく

私たちは、関東の消費者団体の「こんなお米作ってほしい」というこだわりから始まりました。

それ以来、消費者団体の会議への参加や山形の田んぼで田植えや稲刈り体験をしてもらうなど交流をはかりながら、お米の品種から栽培方法などについて消費者の代表の方たちと一緒に考え、「遊you米」というブランドで生産しています。

これまで米づくりに取り組んできて、これからの農業、特に環境に優しい農業を考えるうえで、作る人と食べる人、都市部と地方の相互理解が必要だと感じます。

食べる人(消費者)が求める『安全・安心』な食を求めて、共に農薬のことや生産方法について勉強していく中で、おのずと農薬をなるべく使わない環境にやさしい農業の形になってきていました。

世の中には、ものすごい取組みをやっている所はたくさんあります。他のところと比べるのではなく、これからは、海も山もあり豊かな自然に恵まれた地の利を活かして地域全体で遊佐町・山形らしいものづくりをしていきたいですね。

〜池田恒紀さん<遊佐町共同米開発部会/遊佐町>〜


有機農業は、唯一マイナスを出さないでプラスを生み出すことができる産業

有機農業でなければ、こんなに一生懸命していなかったと思います。20年有機農業をやってみると、思い通りにいかない現象がおきるし、つねに努力をしていかないと追いつかない…でも、それは農業の原点のような気がします。水管理や雑草など、自分の田んぼや畑でそれぞれ起きていることをよりシビアに見ていかないと、有機農業は上手くいかないのです。

それから、「有機のものを食べるから、身体にいい」というのは、その商品(農作物)ということに関して考えればそうだけども、有機農業ってそれだけじゃないんですよ。例えば米に関して言えば、田んぼを作ることで地下水が豊富になったり、田んぼや周りの生き物を生み出す効力が大きいし、米作りと同時にやっていることがいっぱいあるんです。

自動車産業などは環境に関する負荷を少なくする努力をしていますが、農業は、唯一マイナスを出さないでプラスを生み出すことができる産業で、特に有機栽培をしているとよりその効果があると感じているんです。 だから有機農業って、安心安全な食べ物をつくるというのも目標の一つではあるけれども、作る過程の中でより世の中に必要とされるものを作れる農業だと思います。

〜渡沢 寿さん<山形おきたま産直センター/南陽市>〜


いろいろな種類の有機農産物・エコ農産物

お店などで有機JAS認定や特別栽培のシールを見かけたことはありませんか?。

環境保全型農業で生産された農産物(エコ農産物)に関する制度やマークを紹介します。


有機農産物

化学合成農薬・化学肥料 不使用

有機JAS規格に基づき、堆肥等で土づくりを行い、化学肥料及び化学合成農薬を一切使用しないで生産された農産物のことをいいます。


【有機JAS認定制度

有機農産物を生産する「生産行程管理者」を、農林水産省が認定した「登録認定機関」が認定する制度で、認定された事業者のみが「有機JASマーク」を付すことができます。有機JASマークがない農産物・農産物加工品に、「有機」や「オーガニック」という表示を行うことはできません。 


特別栽培農産物

化学合成農薬・化学肥料 50%減

「特別栽培農作物に係る表示ガイドライン(農林水産省)」(以下、「ガイドライン」という。)に基づき、化学合成農薬の使用回数及び化学肥料の窒素成分量が地域の慣行レベルの50%以下で生産された農産物。

例えば、山形を代表するお米「つや姫」は、栽培基準を原則有機栽培及び特別栽培に限定し、ブランド力を高めています。


【特別栽培農産物認証制度】

ガイドラインに基づき農産物を生産している生産者や組織を第三者が確認して認証する制度。山形県では「公益財団法人やまがた農業支援センター」と「鶴岡市」が認証機関となっています。

上のマークは「公益財団法人やまがた農業支援センター」の認証マーク、下のマークは「鶴岡市」の認証マークで、それぞれの認証機関において審査し、適正と認められた場合に付すことができます。


エコファーマー

化学合成農薬・化学肥料 30〜20%減

【エコファーマー認定制度

「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(平成11年10月施行)」に基づき、たい肥等による土づくりと化学肥料や化学合成農薬の使用を概ね2~3割低減することを一体的に行う農業生産方式の導入計画を作成した農業者を知事が認定する制度で、認定を受けた農業者を「エコファーマー」と言います。

「やまがたエコファーマーマーク」は、本県で認定を受けたエコファーマーが持続性の高い農業生産方式により生産した品目の包装資材等に表示することができるものです。



環境保全型農業で作られる農産物の概念図

資料供与:山形県